見守る ~ある年の保育記録より~

ある年の5月13日

見守る ~ある年の保育記録より~

散歩の帰りに、下のグランドに立ち寄った時のこと。
ジャングルジム横の小さな穴へ、落ちている棒を入れ、棒落としを楽しみ始めたT君。棒を拾っては穴に入れ、向こう側に落とし、次の棒を探す。隣にいた私は、特に声もかけず、本児が真剣に取り組む姿を見ていた。

何度も、何度も繰り返していたのだが、ある時、太い棒に手を出したT君。それは入らないと大人の私は、見ただけで分かる程の太さだったが、T君は、同じように穴に入れようとする。
「入らないんじやない?」と、声が出かかったが、何も言わずに見守った。グイっと押してみても入らない。ならば、こっちの穴はどうか?といったふうに、別の穴へ、次から次へと試してみる。が、もちろん入らない。

暫くすると、満足いくまで試したのか、フっと入れるのを止め、地面に棒を落とし、別の棒を拾った。また、穴へ棒を入れ、おとしては、次の棒を探す作業。先程の太い棒も地面に落ちているので、一瞬、拾おうと、手を伸ばすのだが、アっこれは入らないんだといった感じで、手を引込め、、別の棒を拾う。
これこそが経験・実体験なのだろう。本児が実際に経験したからこそ、「これは入らない」と学習し、学びとったようだ。大人が、先回りして、言葉で教えてしまうのではなくて、子供自身が、やってみる、体験することの大切さを、改めて感じた。

先回りして、子供から、実体験を取ってしまうことのないよう、日々の保育の上で、見守る・待つ ということを、大切にしなければと思った。

※写真と本文は、直接関係ありません。

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