

子どもが、良く育っている とか、いまいち育ちが悪い とか、言いますが、何をみて、育ちの評価をするのでしょうか。子どもの育ちには「見える育ち」と「見えない育ち」があります。字が書ける・逆上がりができる。これは誰にでも見えるから、すぐ解る成果・育ちですね。
でも、私たちは、見えない育ちを感じた時、こんなに良く育ってる と喜びを伝え合い、喜び合います。他者から 思いやりをたくさん貰って育った子には、思いやり が自然と育つものです。また、思いやり の行動をたくさん見ている子は、自然と真似をするものです。まして、大好きな大人であれば、喜んで真似をします。
「子どもは、育てたように育つ」とは、昔から言われた言葉です。「まねび」が「学ぶ」の始まりです。
ある年の9月10日の保育記録より
Aちゃんは、この頃、0歳のKちゃんが気になり、泣くと、優しく顔をのぞかせたり、トントンしてくれたり、周囲の様子に気づき始めた。今日は、落ちていたMちゃんのタオルを拾い、私の所へ「ん?」とアピール。「Mちゃんのタオルだね」と伝えると、Mちゃんの所へ向かい、「ハイ」と渡した。だが、Mちゃんは棒落としの棒を集めるのに真剣で、気づかない。Aちゃんは、Mちゃんの様子を、じっと見てから、タオルを近くに置くと落ちている棒を拾い、Mちゃんに「ハイ」と差し出した。Mちゃんは「どうも」と、頭を下げて、嬉しそうに受け取った。
私は、二人の様子を見ていただけで、声は全くかけていない。Aちゃんは、周囲の状況をよく見て、適切な行動をしたなーと、感心し、嬉しくなった一場面でした。機嫌が悪く、泣いているCちゃんに手を取られて、カバンから、お気に入りのタオルが出せずに困っていると、それを見ていたAちゃん。サッとロッカーに向かい、Cちゃんのカバンを持って来てくれた。
これらのエピソードは、Aちゃんのものだが、最近、子どもたちの間で、このような姿が多くみられる。1歳児なりに、状況をよく見て、考えて、行動する姿。とても感動する場面である。私たちは、こういう場面を、敏感に捉えられる感性と、子どもの内面の育ちを喜び合える感性を大切にしたい。
「おもいやり」をかけられても、まだよく解らない0歳児。
でも、何となく優しい空気を心地よく感じた・・・・・乳児クラスの「思いやり」の芽はこんなところから始まってくるのだと思う。
※写真と本文は、直接関係ありません。