はい どーぞ ~ある年の保育記録より~

ある年の7月30日

はい どーぞ ~ある年の保育記録より~

悲しくなったり、眠くなると、おしゃぶりを使用している双子のT君とM君。
いつもカバンに一つずつ、おしゃぶりが入っているのだが、今日は、一つしか入っていなかった。先にM君が、カバンから出して、おしゃぶりを使い始めた。

その数分後、T君も欲しくなる。いつもの様にカバンを持って来て、一緒に探してみるが、おしゃぶりはない。納得させようと、部屋の中も「無いね。無いね」と確かめながら探した。が、納得できないT君。メソメソ機嫌が悪くなる。

そんなやりとりをしているところへ、おしゃぶりをしたM君がやってくる。
それを見たら、T君は余計、欲しくなるのになー。と、私は心の中でそう思い、「M君あのね、T君がおしゃぶり欲しいんだって。それで泣いているんだ」とM君に伝えてみた。

それを聞いたM君は、自分がしているおしゃぶりを取り、T君にくわえさせたのである。「M君、貸してくれるの?ありがとね」と伝えると、照れた表情で、私に抱き着いてきた。いつもなら、なかなか外さないM君なので今日の出来事には驚いた。

周囲の子供との関わりをもち始めたM君。泣いている子を見ると、何かしようと考え行動をしてくれる毎日だ。
今までの生活の中で、家族や保育士など周囲の大人たちに、自分の悲しい気持ちを分かってもらえ、関わりをもってもらって、元気になれた。そんな経験があって、それを今度は自分が・・・・

まだまだ幼いM君だが、周囲を思いやる気持ちが、もう芽を出している。
毎日の生活の中での人間環境の大事さを、感じさせられた。

※写真と本文は、直接関係ありません。

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